2011年2月28日月曜日

2月28日 運航実績

2010年4月17日〜2011年2月28日の運航実績をアップします.

要請件数は1013件,出動773件(現場678件,施設間搬送95件)でした.月別の詳細なグラフは下記です.御参照ください.


離陸前キャンセルの理由は
・重複要請
・天候不良
が2大原因です.

冬期の天候不良(降雪)は日本海側,特に今シーズンは厳しい状況でした.補完としてドクターカーにて対応しましたが,要請に応需出来ずご迷惑をおかけしました.申し訳ありません.

3月は天候も回復することでしょうから,今まで以上にドクターヘリをご活用ください.よろしくお願いします.

2011年2月25日金曜日

2月23日〜25日 日本集中治療医学会に出席

2月23日〜25日 日本集中治療医学会に出席しました.


評議員会,座長,研究会,打ち合わせなどなかなかタイトな日程でしたが,勉強になりました.移動は伊丹空港まで自家用車.伊丹〜羽田空港での空路です.但馬空港がもっと便利(東京直行便)になればホント楽になるのですが・・・

この3日間,TECCMCも穏やかな時間が流れていたようです.ドクターヘリの出動も施設間搬送1件のみ.たまにはこんな時期も必要ですね.

2011年2月21日月曜日

2月21日 BESTな現場医療は?

ドクターヘリ・カーで現場医療を行うスタッフは,常にBESTな治療は?と考えています.本日のドクターヘリ・カー担当は小林,岡先生,濱看護師です.今日はまさに現場から医療は始まる!といった事案です.

☆ドクターヘリ1件目

覚知同時要請.「川に転落,意識なし.」との情報です.外傷?内因性?機内ではどちらの対応も考え準備です.

現場近く無線で情報が入ってきます.「ユンボごと川へ転落.下敷き.現在,現場活動中.」 重症外傷のようです.ランデブーポイントに向かう途中に現場上空で現場の状況を確認.川の中州に人が倒れ,救急隊,救助隊が活動しているのが目に飛び込んできます.周囲を確認すると直近に着陸可能なスペースがあります.医療スタッフを最速で現場投入するにはそこに着陸するのがBESTと判断,安全を確認し現場直近に着陸です.


「ヘルメット装着,安全を確認し現場へ!」 医療スタッフ間で確認します.資機材を各々担ぎ,現場の指揮隊長のところへ.安全を確認し現場投入の指示を受けます.

傷病者は川の中州.川の堤防を約3mほどはしごで下り,水の中を中州へ向かいます.膝まで水につかると安全靴の中も水びたし.そんなことにはかまっておられません.


医療スタッフ現場到着.救急隊に状況を聞きながら外傷初期診療開始.PEA状態.原因は?IOIによるルート確保,気管挿管を行いつつFASTで原因精査.ドクター2人制だと現場でも病院内初療と変わらぬ早さで診療が行われます.FASTでは心嚢液貯留なし,腹腔内出血なし.しかし,後腹膜の血腫があやしい!胸部皮下気種,動揺なし,頭部外傷もなさそう.骨盤骨折,後腹膜出血に伴うPEAと判断します.時間的にも,病態的にもまだまだ可能性があります.


搬送を優先?しかし,堤防をつり上げるにあたって舟形担架に収容,2〜3分間は胸骨圧迫がとまってしまいます.また,出血を止めなくては心拍再開の可能制もなくなってしまうでしょう.

小林・岡先生の考えは瞬時に一致.「濱君,EFT準備!」 岡先生は迷いなく,院内同様に治療を開始.小林は救助隊と搬送方法,特に堤防つり上げ時の方法について協議します.「サティンスキー・・・遮断完了.心マ開始」と同時に岡先生の腰にハーネスが巻かれます.

搬送開始!舟形担架に乗せられた患者さんを救助隊が引っ張りあげます.そしてその横を岡先生も上からハーネスでつり上げられ,下から救助隊に支えられながら治療継続したまま堤防を上がってきます.


小林は機内準備.機内へ収容しそのまま岡先生から治療を引き継ぎます.岡先生は気道管理へ.加圧バッグでの輸液,薬剤投与,EFT.そして,TECCMCの初療では開胸,緊急輸血の準備が整っています.番匠谷先生,松井先生の待つTECCMCへ急ぎましょう!!



現場からのシームレスな外傷治療.決してあきらめず,BESTな治療を瞬時に選択.消防のしっかりとした覚知同時要請があるからこそ,最速の医療介入が開始されます.そしてそんな中鍛え上げられたTECCMC's flight team.この1年,確実にこの地域の救急医療,外傷診療が変わりました!

2011年2月20日日曜日

2月20日 本日も☀

本日の朝のヘリポート写真.本日も☀ 心地良しです.


本日のドクターヘリ・カー担当は番匠谷先生,米田看護師.小林は立て続けの緊急手術対応に回ります.

ドクターヘリは2件出動.1件目は意識障害.意識レベルIII桁にてTECCMC搬送です.2件目は離陸後(ランデブーポイント着陸後)軽症キャンセル.早期の要請がなされている証拠です.大事に至っておらず良かったです.本日のヘリミッションも特に大きな問題もなく終了.お疲れ様でした.



本日は日勤帯に2件の緊急手術がありました.いつもは夜間に緊急手術は多いのですが.小林,岡先生,幸部先生で対応です.2件とも手術のタイミングとしては正解.1件は腸間膜裂孔ヘルニア,絞やく性イレウス.今まで何例も内ヘルニア症例の手術を担当していますが,今回は非常に珍しいケースでした.術前のCTでは絞やく部位,内ヘルニアは診断したのですが,腸間膜裂孔とは.acute care surgery,本当に多種多様です.



さて,岡先生,三浦先生と夜勤です.

2011年2月19日土曜日

2月19日 久しぶりの快晴(^_^)

今日は久しぶりの快晴!心地よい朝です.高気圧万歳!!


本日のドクターヘリ・カー担当は小林,岡本先生,森田看護師です.

☆ドクターヘリ1件目 施設間搬送(急性心筋梗塞)

朝の回診終了後,日勤責任者の三浦先生から「他院から急性心筋梗塞の患者さんが紹介になりました.ヘリで迎えにいってください.」との要請.救急車で来ると40〜50分はかかるところです.ヘリであれば5分少々.心筋梗塞は時間との勝負.まさにヘリの適応です.ほどなく搬送元を管轄する消防本部からヘリ要請がかかります.快晴の空をJA822Hドクターヘリは快適に飛ばし,ランデブーポイント到着.救急車も同時に到着.時間的なロスはありません.ABCの安定化だけ確認し速やかにヘリ機内へ患者さんを搬入,TECCMCへ向け離陸です.

TECCMC搬入後,循環器科の先生方により心カテの治療が行われました.経過良好!良かったです.

☆ドクターヘリ2件目 閉じ込め外傷

1件目がヘリポートに着陸する直前に要請です.1件目の患者さんをヘリポートにて初療担当の三浦先生へ引き継ぎ.ヘリスタッフはそのまま機内へ戻り出動です.

「年齢不詳.トラックの事故.閉じ込めあり.」との情報.救助事案で現場投入の場合に備え,ヘルメット,革手袋の確認をします.現場活動をするにあたり,自分自身を守る事は最低限必要なことです.長袖,ヘルメット,革手袋,安全靴.ヘリスタッフにとっては当たり前の装備.

機内で準備を行っているとランデブーポイント上空に到着です.まだ支援車は来ていません.現場は?上空から探索,「あっ,発見!」救助車,救急車,警察車両が見えます.そしてその脇に着陸可能な土手があるではありませんか!消防の許可,安全確認を行ってもらった後,機長は安全にゆっくりとJA822Hをスキット幅ギリギリの土手に着陸させます.


着陸後はいつものごとく機材を担いでダッシュ!安全を確認し医療スタッフは現場へ入ります.


幸いにも患者さんの意識はしっかりしておられ,初期評価も問題なさそうです.であれば救出まで待ちましょう.しばらくすると,救急隊,救助隊により患者さんは車外へ救出.そこから我々の外傷初期診療が開始です.A, B, C, D・・・大丈夫そう.しかし明らかに高エネルギー外傷なのでTECCMCへ搬送し精査です.

救急隊,救助隊と共に現場から土手のヘリまでストレッチャーで搬入.


機内ではしっかりとモニタリングを行い,輸液速度の調整,貧血進行の有無などをチェック.TECCMC搬入です.

このような閉じ込め事案では遠慮なくヘリ要請してください.本事案のように早期からの医療介入と適切な病院選定,搬送時間の短縮が可能となります.

☆ドクターヘリ3件目 スノーボード外傷

覚知同時要請.「スキー場での事故.年齢,性別不明.呼吸困難を訴え意識朦朧.」との情報です.晴天の週末,やはりスキー場での事案が発生します.皆様,スキー場での怪我には十分にお気をつけ下さい.

10分程度でヘリは現場スキー場上空に到着.救急車はまだまだかかりそうです.幸いにも現場直近のロッジ駐車場に着陸可能なスペースがあります.上空から安全を確認,スピーカーで上空から地上の方に着陸する旨連絡し慎重に着陸.そこから機材を担いで現場まで.本日2事案目の現場投入.しかもドクヘリスタッフ先着.


タンカに乗せられた患者さんをゲレンデ内で外傷初期診療開始.ABCは安定していますが,意識は清明ではありません.受傷機転を聞くと顔面から雪面に転倒したとのこと.病院での精査が必要と判断します.ドクヘリのバックボードに全脊柱固定を施行,到着した救急隊とヘリまで搬送し,患者さんの地元に近い病院へヘリ搬送とします.

同時要請によって,医療スタッフが先着出来るくらいの早期医療介入が実現し,また搬送時間もかなり短縮することが出来ます.ヘリを有効に活用出来た事案です.

今回,着陸地点,搬送などでご協力を賜りました皆様に感謝申し上げます.本当に助かりました.患者さんにとっても非常に有効な病院前救急診療を提供させていただけました.

☆ドクターヘリ4件目 心不全からの呼吸困難

要請終了間際の要請です.「突然,呼吸苦を訴えている.」との情報です.要請元消防の救命士さんは我々と顔の見える関係が出来ている方(この地域の救命士さんのほとんどがそうですが).昨年のメディカルラリーにも多大なるご協力をいただいた方です.現場ではこんな関係が重要なのです!

ランデブーポイント近くになって追加情報が無線で入ります.「意識レベル低下.酸素飽和度低下.血圧は高め・・・」.岡本先生曰く,「やばそう・・・」.

ドクターヘリは支援隊が安全を確保しているランデブーポイントへ着陸,数分後に救急車も滑り込んできます.医療スタッフは救急車内へ!顔見知りの救命士さんから簡単に的確な申し送り.患者さんは口から泡沫状の痰を吹いています.酸素飽和度もはかれません.チアノーゼ著明.意識レベル低下,呼びかけに反応なし!低酸素からの心停止一歩手前です.

岡本先生は頭もとにまわり気道管理,小林は末梢ルート確保と心エコー,森田看護師は薬剤の準備,救命士さんは岡本先生の補助と皆がそれぞれの役割をこなします.

鎮静し気管挿管,心エコーでは心嚢液貯留なし,壁運動に明らかな異常なし.12誘導心電図でも虚血を示唆する所見なし.病歴などから高血圧性の心不全,肺水腫,低酸素血症が疑われます.

生活圏を考え,循環器に対応可能な病院を選定,快く応需してくださりヘリ搬送です.

適切なヘリ要請が搬送中の心停止を回避出来た事案です!すばらしいヘリ要請!!



4件目の搬送を終え帰投すると日没ギリギリ.なので,ヘリは但馬空港の格納庫へ直帰.我々もおともします.久しぶりの快晴,但馬空港の夕焼けです.


機体を格納庫へ運ぶための作業を機長さん,整備士さんが行います.それを物珍しげに見つめる岡本先生.


そしてJA822Hドクターヘリは格納庫へ収納されました.動画をお楽しみください.


運行スタッフ,医療スタッフは後片付け,点検を終えた後に空港から病院まで乗用車で移動,終礼を行って本日の業務終了です.お疲れさまでした.



本日は6件要請の4件出動.要請が重複し全事案に対応出来なかったことをお詫び申し上げます.やはりこの地域,ドクターヘリのニーズは高く,有効利用されています.



ドクターヘリのことがメインになっていますが,初療もICUもがんばっていますよ〜!

2011年2月18日金曜日

2月18日 思わぬ再会

本日のドクターヘリ・カーの担当は小林,三浦先生,林看護師です.

今日は思わぬ再会がありました.施設間搬送で使用したランデブーポイントで待機中(救急車には三浦先生が同乗),どこかで見覚えのあるシルエットが・・・小林が千里救命救急センター在職中にレジデント医師であった小島先生です.今や小島医院の理事長.何年ぶりの再会でしょうか!小島先生は内科医でもありますが,心肺蘇生術の講習会(ICLSコース)にも積極的に関わっておられます.そんな関係で林看護師とも旧知の仲.短い時間でしたが,懐かしくもうれしい一時でありました.人と人のつながりは良いものです.皆,それぞれに地域のためにがんばっておられます.

☆ドクターヘリ1件目 意識障害

救急隊現着後要請.救助事案です.「年齢,性別不詳.意識なし.墜落の可能性あり.」との情報.追加情報では崖下に倒れておられ,要救助事案のようです.

現場直近は海岸線に山が迫っており,着陸ポイントがありません.近くにランデブーポイントに設定されているヘリポートがありそこに着陸,支援車で現場まで向かいます.

5分弱で現場に到着.患者さんは崖下から救助され,ちょうど救急車内に収容された後です.三浦先生と診療を開始しつつ状況を確認します.救急覚知時間,救急隊現着時間とその時の状況などなど.それを踏まえた医学的判断を行います.大変厳しい状況であり,現場で全てを終了させ警察に引き継ぎの判断.このような判断も病院前救急診療の重要な役割となります.

帰投前の三浦先生,林看護師.資機材の忘れ物はありませんね?



☆ドクターヘリ2件目 施設間搬送

TECCMCから患者さんの地元病院への施設間搬送です.搬送中の医学的介入と重症度から,ドクターヘリを選択します.

初めてのランデブーポイント.消防の皆様のご協力を賜り,速やかな対応をさせていただきました.ありがとうございます.

搬送には三浦先生が同乗.その間の出来事は前述の通りです.また,それ以外にも近所の方(お母さんと4歳の息子さん)にも待機中のドクターヘリを見学してもらいました.子供さんは将来消防職員になりたいそうです.是非,夢をかなえてくださいね(その時にはヘリ支援もよろしく!).




岡先生,幸部先生と夕方から2件の緊急手術を行いました.1件は非常に珍しい疾患で,治療方針を悩みました.acute care surgeryはやはり奥が深い.1例1例から学ぶことが必ずあります.

皆様,本日もお疲れ様でしたm(_ _)m.

2011年2月17日木曜日

2月17日 ドクターカーの委員会

今日は朝からドクターカー運行に関わる委員会が開催され,関係される皆様が集まりました.詳細は割愛しますが,当センターのドクターカーは各種補助金で運営されています.ドクターヘリ同様,ドクターカーも地域の多くの方々のご協力,ご支援をいただいており,感謝申し上げます.

本日のドクターヘリ・カー担当は小林(午前中は幸部先生),松井先生,林田看護師でした.

☆ドクターヘリ1件目 交通外傷

朝一番での要請です.「交通事故.複数傷病者.」との情報.フライトスタッフは資機材を積み込み,出動です.どうやら傷病者は3名,内1名が重症とのこと.ランデブーポイントでヘリと救急車がドッキング.ヘリが担当するのは1名のみ.他の2名はトリアージ「緑」で近隣病院へ搬送されています.

救急車内で外傷初期診療を速やかに行い,TECCMCへ搬送です.他の患者さんはすでに他の病院への搬送が決定していたため,ヘリでのピストン搬送はありません.

TECCMC到着.やはり重症外傷!ヘリが有効に活用された事案でした.

☆ドクターヘリ2件目 呼吸困難

1件目の搬入と同時に要請です.1件目の患者さんをヘリポートで引き継ぎ,スタッフは再び離陸.患者さんを引き渡す側,引き受ける側の絶妙なチームワークなくして,このように速やかな連続出動はありえません.

ランデブーポイントで救急隊とドッキング.病歴,身体所見より自然気胸の再発を疑い,直近の2次病院へ救急車同乗で搬送させていただきました.快い応需,感謝申し上げます.

☆ドクターヘリ3件目 意識障害・不穏

午前中3件目の要請です.豊岡市消防本部で会議中の小林には,消防の指令放送が聞こえています.

救急隊現着時,かなりの不穏状態.ランデブーポイントでの診療開始時も同様な状況.病歴,身体所見などから頭蓋内病変などを鑑別し鎮静の後にTECCMC搬送です.

早期に医師の管理下に患者さんをおく必要性と,そのトリアージの重要性をきちんと消防の皆様が理解されている地域です.

☆ドクターヘリ4件目 呼吸不全

覚知同時要請.救急隊現着時は酸素飽和度の低下がみられたようです.酸素投与,口腔内吸引.現場で出来る処置を行いつつランデブーポイントへ.

ヘリ着陸直後に救急車とドッキング.身体所見,病歴からは嚥下性肺炎が強く疑われます.幸い酸素化も戻ってきたため,松井先生同乗で近隣のかかりつ病院へ搬送とします.

現場での医療トリアージにより適切に病院選定が出来ました.お疲れ様でした.

松井先生達を乗せた救急車がランデブーポイントを出発した後,ヘリの後ろを見ると「バスクリン」の跡が!先日,ここに着陸した際の名残のようです.ちょっと不思議な光景に思えたので1枚.この後,松井先生達を迎えに行くために別のランデブーポイントへ移動です.




夕方からはカンファレンス室でフライトナース達が会議しています.こうやって,ドクターもナースも「質」を保っていく努力を続けます.

本日もお疲れ様でした.

2011年2月16日水曜日

2月16日 749件目の出動

ブログの更新が滞ってますね・・・順次アップしていきます!

本日,ドクターヘリは3件の出動があり,4月17日から749件の出動件数になりました.これは日本のドクターヘリの出動記録を更新する数字だそうです.安全第一はもちろん,地域の皆様のお役に立てていること,運航に際して多くの方々の御協力をいただいていることにあらためて感謝申し上げます.この数字は通過点でありますし,豊岡ドクターヘリはまだまだ余裕があります.今後も徹底した現場からの医療に邁進したいと思います.今後ともよろしくお願い申し上げます.

本日のドクターヘリ担当は小林,幸部先生,清水看護師です.

☆ドクターヘリ1件目 交通外傷

トラック同士の正面衝突事故.覚知同時要請です.しかし,ドクターヘリは豊岡病院周辺が濃霧のため但馬空港待機中.であれば,ドクターカーでスタッフを但馬空港へ移動させそこからの出動に切り替えます.覚知同時要請なので,時間的余裕がこのようなところにも生まれてきます.

要請から18分後にドクターヘリ,但馬空港離陸.空港職員の方々にも御協力をいただき,助かりました.上空から確認すると,霧は晴れてきているようです.これならばTECCMCへ搬送可能か,と思いつつ現場へ!


ヘリがランデブーポイント到着直前に救急車も到着.幸い,1名の方は軽症であったようです.もう1名の方がランデブーポイントへ.速やかな外傷初期診療を行い,TECCMCへ搬送です.

但馬空港からの変則出動でありましたが,ドクターカーを上手く活用することで診療開始までの時間が延びることはありませんでした.医療スタッフは常に移動手段を有しておくことが大切であるとあらためて実感いたしました.

☆ドクターヘリ2件 意識障害・左半身麻痺

救急隊現着後の要請です.ミッションはまったく問題なし.ドクターヘリを上手く活用してくれてます.もちろん,現場からの早期医療の開始と搬送先の判断,搬送時間の短縮に本事案も有用性が示されました.

但馬地域は場所によって積雪量が違っています.本事案のランデブーポイントはいまだ積雪量が30〜40cmありました.ヘリにはスノーシューが装着されており,安定して着陸出来ます.しか〜し!スタッフは普通の安全靴.ヘリから降りた際に膝まで雪に埋もれ転倒・・・患者さんのヘリへの搬入も積雪の中,救急隊はじめ皆でタンカを担いで搬入.初めての冬季運航,様々な注意点と活動方法が見えてきます.



☆ドクターヘリ3件目 乳児の呼吸停止・痙攣

救急隊現着後の速やかな要請です.「乳児の痙攣.」といった情報です.現場から救急車でTECCMCまでは20〜30分.ヘリであれば5分.現場は早期医療介入の意義と重要性を認識しています.

ヘリは積雪のないランデブーポイントへ着陸.救急車はすでに到着しています.医療スタッフは走って救急車へ.救急車内での診療が開始されます.幸部先生は診察,小林はお母さんからの病歴聴取.やはり呼吸停止があり,痙攣も生じていたようです.幸いにも今は酸素化など問題なさそう.皮膚の色も大丈夫そうです.しかし,病歴,病状より迅速な病院搬送が必要と判断します.救急車の外は寒いため,ヘリまでのわずかな搬入距離であっても十分な保温処置を行います.患児を小林が抱きかかえ,機内に収容.現場滞在時間は10分もかからずTECCMCへ向け離陸です.

飛行中,呼吸状態は安定.これでひと安心.初療で小児科の先生に引き継ぎながら診療を継続.と,その時!「呼吸してない!!チアノーゼ出現!」 日勤責任者の番匠谷先生はすぐさま補助換気.小児科の先生は末梢ルート確保.同時に治療を行います.幸いにも呼吸再開,酸素化も戻りました.

RSウイルス感染,鼻汁による鼻閉からの窒息,呼吸停止だったようです.救急隊の迅速かつ適切なヘリ要請が功を奏した事案です.救急車搬送だったら・・・肝を冷やしました.



さて,夜は幸部先生と緊急手術対応です.もうちょっとお仕事,お仕事.

2011年2月15日火曜日

2月15日 兵庫県メディカルコントロール協議会

本日,小林は明けで「兵庫県メディカルコントロール協議会」に出席しました.豊岡から神戸まで,乗用車で2時間〜2時間半.移動中は「眠○打破」「レッド○ル」「各種カフェイン入りタブレット」で眠気を吹き飛ばします.但馬は良いところなのですが,公共交通機関がもっともっと便利になると言うことないのですが・・・市長さん,よろしくお願い申し上げますm(_ _)m

会議内容は「傷病者の搬送及び受入れの実施基準「地域版」の検討」です.但馬地域は現行の体制で問題は少なく,さらなる地域連携を進めていきたいと思います.


本日のドクターヘリ・カー担当は幸部先生,山邊先生,森田看護師です.


☆ドクターヘリ1件目 交通外傷・傷病者3名


朝のカンファレンス中に要請です.もちろん同時要請.「乗用車とトラックの事故.傷病者3名.」との情報です.先日の日本集団災害医学会でも発表しましたが,TECCMCドクターヘリは複数傷病者事案にかなり対応しております.幸部先生,山邊先生も然り.


現場は山間の道.ランデブーポイントからは距離があります.上空から着陸可能な空き地を見つけ,安全確保の後に着陸,そこからスタッフはダッシュで現場へ!




3名の傷病者を二次トリアージ.緑2名,黄1名.黄の傷病者はヘリでTECCMCへ.緑の傷病者は各々近隣病院へ分散搬送です.

複数傷病者事案では,現場からの医療介入(トリアージ,治療など)が有用性を発揮します.

☆ドクターヘリ2件目 急性冠症候群(疑い)

ランデブーポイントでの12誘導心電図,心エコー(←山邊先生の専門)で鑑別診断を行います.結果,かかりつけの病院でも対応可能と判断しています.

TECCMCまでの搬送距離を考えると,近隣の病院で対応可能な患者さんを現場でトリアージ,診療することは,患者さんにとっても,ご家族にとっても意味のあることと思っております.



皆様,本日もお疲れ様でした.

2011年2月14日月曜日

2月14日 午後から吹雪

朝は曇り.雪雲が不気味に近づいてきます.本日のドクターヘリ・カー担当は小林,岡先生,林看護師.

☆ドクターヘリ1件目 出動後キャンセル

覚知同時要請です.「コンテナ車の横転事故.詳細不明.」 この情報だけで十分にヘリ要請基準に合致です.消防の指令は迷わずヘリ要請.離陸後数分で傷病者軽症にてキャンセルとなりましたが,これは結果であって,もし重症外傷例であれば間違いなく救命のチャンス&後遺症軽減のチャンスは↑↑↑です!素晴らしき要請判断!!

☆ドクターヘリ2件目 意識障害

覚知同時要請です.ランデブーポイントから支援車で現場まで移動,現場活動中の救急隊と協力して治療を行います.同時要請だからこそヘリスタッフが現場まで来られるのです.

病態,既往などから岡先生,林看護師が救急車に同乗して直近のかかりつけ病院へ搬送です.応需してくださったDr.は小林,岡先生の大先輩.いつもご指導いただきありがとうございます.

小林は別事案が発生した時のためにヘリで待機.岡先生,林看護師の帰りを待ちます.


幸い別事案の要請もなく,岡先生,林看護師を乗せヘリは豊岡へ・・・と思ったら急に天候が・・・雪が降り始めました(>_<) 帰投先を但馬空港に変更(当院の格納庫がまだ完成していないため),ヘリを格納庫へ収納することに.

吹雪の中,エプロンから格納庫へ向かうJA822Hドクターヘリを追いかける岡先生,林看護師.寒そう〜.


格納庫に入れれば,点検・整備.その間,医療スタッフは資機材の撤収準備.個人資機材と医療資機材を身にまとい,機体の整備を真剣(???)な眼差しで見つめる林看護師です.ちなみに背負っているのは成人用トーマスバッグ.バッグが大きいのか・・・


この後は運航スタッフと一緒に病院まで乗用車で帰投です.



幸い,この後はヘリ要請もカー要請もなく穏やかに日没を向かえました.本日は変わりやすい日本海側の冬の天候を思い知らされました.




2011年2月13日日曜日

2月11日〜13日 災害医学期間

2月11日,12日と第16回日本集団災害医学会に出席,発表してきました.


JR福知山線列車脱線事故の現場経験,ドクターヘリでの多数傷病者事案の経験などをもとに,災害時の早期医療介入(ドクターヘリ・カーシステム)の有用性をパネルディスカッションにてしゃべらせていただきました.下記は発表スライドのほんの一部抜粋です.




災害時の院内,院外対応など,今後の参考になる有意義な学会でした.

また,いろいろな方とお話をさせていただきました.どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます.



13日は新大阪にある東洋医療専門学校で,日本集団災害医学会主催の「多数傷病者への医療対応標準化トレーニングコース(MCLSコース)」を受講しました.全国から著明な先生方,救急救命士の方が来てくださり大いに盛り上がりました.まだ試行コースではありますが,本コース展開の際には微力ながら協力させていただきます.



久しぶりに災害医学にどっぷり浸かった数日でした.



ドクターヘリ・カーの出動状況のまとめです.

11日・・・ドクターヘリ4件(現場2件,施設間搬送1件,離陸後キャンセル1件),ドクターカー0件
12日・・・天候不良にてヘリ運航不可.ドクターカー1件
13日・・・天候不良にてヘリ運航不可.ドクターカー1件

脳卒中,循環器疾患,急性中毒,交通外傷など早期医療介入,搬送時間の短縮につながっていました.



活動内容など,もう少し詳しく今度から書きたいと思います.今日はこれでご勘弁をm(_ _)m


2011年2月10日木曜日

2月10日 Jレスキュー

イカロス出版・Jレスキュー,今回はドクターヘリ特集です.TECCMCの密着取材も掲載されております.是非,ご覧ください.


本日のドクターヘリ・カー担当は小林,三浦先生,濱看護師でした.本日,日付が変わってからは非常に穏やかな時間が過ぎております.本日はお昼過ぎから天候不良にてヘリは但馬空港へ.夕方,ドクターカーの出動がありましたが,出動後キャンセルとなりました.ヘリ0件,カー1件.



さてさて,日本集団災害医学会の準備・・・

2011年2月8日火曜日

2月8日 ようこそTECCMCへ!

今日は沖縄にある浦添総合病院救命救急センター・亀山先生が見学に来られました.TECCMCと浦添総合病院救命救急センターのブログは相互リンクをはっております.是非是非両方を覗いて下さい!


大阪で開催される日本集団災害医学会に出席される足で来ていただきました.沖縄と豊岡の気温差は20度くらいあるんじゃないでしょうか.ようこそTECCMCへ!ちなみにうちの岡本先生と亀山先生は同期で,旧知の仲.見学じゃなくて,いろいろ手伝ってもらっちゃいましょう〜(^_^)

ということで,本日はICUで気管切開術を行います.術者は脳外科の堀先生.救急医の我々は気管支鏡などでサポートです.亀山先生にもご協力いただきました.


ちなみにこの気管支鏡は手元に液晶が付いており,皆で手軽に所見を共有出来る優れものです.


各々がきっちりと役目を果たすことで,安全かつ迅速に治療が行われます.チーム医療ですね.



本日のドクターヘリ・カー担当は小林,幸部先生,米田看護師です.亀山先生には午前中,いろいろとお手伝いいただきながら,施設を説明して回りました.もしかして,今日はこのまま終わるか??と思っていた矢先に・・・

☆ドクターヘリ1件目 スノーボード外傷

スキー場での事故です.ランデブーポイントはスキー場駐車場.ヘリ到着時,すでに救急車は到着しています.



医療スタッフはそのまま救急車へ乗り込み外傷初期診療の開始.「右皮下気種あり.呼吸音はやや右減弱.酸素化,循環は問題なし.」と幸部先生.胸腔ドレナージも考慮しますが,呼吸,循環が安定していることから現場処置は見送り搬送優先とします.もちろん,機内急変時対応も準備します.

搬送中はフルモニタリング.輸液量の調整も行いつつTECCMCへ.機内でprimary surveyもクリア出来ているため,ヘリポートからのdirect trauma CT.やはり予想通りの外傷が見つかります.

さて,ドレナージを含む治療開始!そして全身状態の安定化を確認し,ベッドも一杯なので地元への施設間搬送の調整も同時に始めます.

☆ドクターヘリ2件目 施設間搬送

1件目の患者さんの施設間搬送です.地元の病院へ治療を行いつつ搬送です.ランデブーポイントはいつも講義に来ていた消防学校に隣接するヘリポート.隣接の施設ではよく「瓦礫の下の医療」をトレーニングしたものです.


ここまで転医先の先生(小林,米田看護師の友人)に向かえに来ていただきました.迅速な対応を本当にありがとうございます.

患者さんを引き継ぎ,TECCMCへの帰投です.離陸時の動画をアップしてみました.お楽しみください.


☆ドクターヘリ3件目 離陸後キャンセル

2件目からの帰投中,やはり要請が入ります.「急に倒れて意識無し.」 覚知同時要請です.TECCMCへ帰る途中にランデブーポイントかあります.時間的にも問題なし!全速力で向かいましょう.と,数分後に「救急隊現着時,意識清明.ヘリキャンセル」との連絡.安堵の一瞬です.

☆ドクターヘリ4件目 墜落外傷

安堵の時も一瞬,間髪入れずに「別消防からの要請.屋根から落ちた.」との情報でヘリ要請です.ヘリは速度を緩めず,そのまま4件目の事案に向かいます.重なる時は重なりますが,どの消防本部も絶妙のタイミングで要請をかけてくださり,順次対応が可能になります.

ランデブーポイントに着陸,救急車も到着.そのまま外傷初期診療開始.骨盤骨折,大腿骨骨折が疑われます.外傷はTECCMCへ搬送です.

ヘリポートからのdirect trauma CT.機内でprimary surveyが成されているからこその診療です.あっという間にsecondary survey終了.さあ,手術へ!



TECCMCのドクターヘリ,初療対応,ICUなどなどはいかがでしたか,亀山先生?またいつでもお越しください.お待ちしております!


2011年2月7日月曜日

2月7日 転医調整

ベッドが埋まってきました.病院全体で満床状態です.救命救急センターから他施設への転医調整,いつも難航します・・・いつの時代も頭を悩ませる問題です.

本日は緊急手術が日勤帯にあり,番匠谷先生,小林で対応しました.その間,ドクターヘリのfirst doctorは幸部先生にお願いします.本来のドクターヘリ・カー担当は小林,倉橋先生,森田看護師です.

☆ドクターヘリ1件目 院外心肺停止

午前中は静かな,静かなドクターヘリ.要請もなく穏やかな時間が流れます.午後になり静寂が破られます.

覚知同時要請.「窒息,意識なし.」との情報.小林の代わりに搭乗してくれる幸部先生,倉橋先生,森田看護師が乗り込みます.約15分でランデブーポイントへ到着.救急隊現着後にCPAを確認した患者さんを引き継ぎます.

直近の拠点病院へヘリ搬送.快く応需いただきありがとうございました.

☆ドクターヘリ2件目 症候性癲癇

手術も終わり,術衣からフライトスーツへ.本日2件目のヘリ要請です.

覚知同時要請.要請場所は海沿いの町.「突然倒れ,意識なし.」との情報.冬の荒々しい日本海を眺めながら飛行します.


ドクターヘリはランデブーポイントの立派なヘリポートへ着陸します.海からの風は冷たく,厳しい〜〜〜


程なく救急車到着.車内での診療開始です.幸い患者さんの意識は回復しています.呼吸も循環も大丈夫.もちろん低血糖もなし.既往などから症候性癲癇の可能性を一番に考え,直近の拠点病院へヘリ搬送とします.

陸送なら40分以上,ヘリなら10分もかかりません.早期医療介入と搬送時間短縮の実現.この地域におけるドクターヘリの効果ははかりしれません.

☆ドクターヘリ3件目 意識障害

日没間際のミッション.現場活動時間も短くする必要があります.ランデブーポイントで救急車とドッキング.


患者さんの意識レベルはIII桁.低血糖の補正をしてもレベルの改善はII桁まで.右共同偏視がみられます.これは頭蓋内病変か!?

生活圏と病状を考慮し直近の救命救急センターを選定します.搬送先の先生方のご協力でヘリポートでの引き継ぎ,申し送りを行い速やかに離陸することが出来,何とか日没までには帰投出来ました.



本日もお疲れ様でした.

2011年2月6日日曜日

2月6日 ヘリの運航力

今日は朝から霧.ヘリが当院のヘリポートに来られません.本日のドクターヘリ・カー担当は小林,松井先生,藤巻看護師.準備だけは抜かりなし.そんな中・・・

☆ドクターカー1件目 意識なし

朝のカンファレンス中に要請です.松井先生はカンファレンス室から駆け出します.ヘリの補完のドクターカー.この季節大活躍です.カンファレンス参加者全員で見送り・・・しばらくすると,「救急隊現着時,カー不適症例にてキャンセルでした.」と松井先生が帰ってきました.さて,引き続き申し送りをしてくださいね.

ドクターカードクターヘリ1件目 骨盤骨折 出血性ショック

回診中にドクターカーの要請です.松井先生は3階のICUから階段をダッシュ!藤巻看護師と共に出動です.その直後,運航管理室からの一報,「但馬空港からは離陸可能になっています.カーの出動場所はスキー場なので,ヘリを飛ばしますか?TECCMCへの着陸の保証はありませんが・・・」 小生は迷わずヘリ出動を指示します.スタッフと共に但馬空港へ乗用車で移動.ドクターカーで出動したばかりのスタッフも但馬空港へ向かわせ,ヘリでの出動へ切り替えます.

10数分後,医療スタッフ3名を乗せたJA822Hドクターヘリは但馬の空へ舞い上がります.病院の周りだけが霧.それ以外は ↓↓↓ こんな感じです.


10分後,スキー場麓の駐車場に着陸,救急車を待ちます.ミッションの時間的には,救急隊現着までの時間,スキー場から麓まで下ろして車内収容,ランデブーポイントまでの陸送時間を考えると,但馬空港からの出動でも間に合いました.

休日のスキー場駐車場は一杯です.その傍らの空きスペース,ここが今回のランデブーポイント!


程なく救急車到着.松井先生,藤巻看護師と車内へ乗り込んで外傷初期診療開始.意識朦朧,頻呼吸,冷感著明,橈骨動脈微弱,背中と腰を痛がっています.松井先生は瞬時に「やばい!!」と判断,2ルート確保し輸液開始.FASTはnegativeなので後腹膜臓器の損傷か骨盤骨折か!?速やかにヘリ機内へ収容しTECCMCへ搬送です.

搬送中の機内では輸液に反応し,循環が立ち上がってきます.primary surveyはクリア出来そう.ならば得意のヘリポートからのdirect trauma CTで一気に精査です.松井先生から日勤の岡先生,三浦先生へその指示が機内よりなされます.こんな連携の積み重ねが根治的治療開始までの時間を短縮するのです.

TECCMC着陸,そしてCT・・・腰椎破裂骨折,骨盤骨折,造影剤の血管外漏出あり!読み通り!!間髪入れずに血管造影からTAE.岡先生,番匠谷先生,お見事です!無事救命することが出来ました.

血液検査所見でかなりのアシドーシスを認めており,おそらく陸送であれば搬送中に出血性ショックから心停止に陥っていたと考えられます.これが消防の的確な早期要請とヘリの機動力・運航力により回避されました.ヘリが非常に有用であった事案です!

☆ドクターヘリ2件目 交通外傷

1件目搬入の患者さんの血管造影も終盤,後は確認造影のみ.そんな中,血管造影の操作室で治療の監督をしていた小生のPHSが鳴り響きます.

「乗用車3台の玉突き事故.赤の傷病者1名の対応をお願いしたい.」との情報で離陸です.事故現場を上空から確認し,ランデブーポイントへ.現場離脱した救急車も確認します.ヘリ,救急車共に同じような時間にランデブーポイントへ到着.離陸後,速やかに車内での外傷初期診療が始まります.


幸い呼吸,循環は問題ありません.「両手が痺れます.」との訴え.全脊柱固定のままTECCMCへ搬送です.

☆ドクターヘリ3件目 脳卒中

2件目の現場を離陸した直後に要請です.「脳卒中疑い.」との情報.ランデブーポイントはTECCMCへ向かう途中にあります.「松井先生,藤巻看護師を途中のランデブーポイントへおろします.診察上TECCMCへの搬送が必要であれば,2件目の患者さんをおろした後にピストン搬送で.」 2 flight doctor制ならではの運航です.

ランデブーポイントへ到着したドクターヘリから松井先生,藤巻看護師がおり,到着した救急車内へ.2件目の患者さんと小林を乗せたヘリは再び但馬の空へ舞い上がります.


救急車内で松井先生は診療開始.幸い呼吸,循環は安定.確かに麻痺はありますが,発症時間を考えると血栓溶解療法の適応はなさそうです.現場で医学的に判断,直近2次病院へ救急車同乗で搬送です.

松井先生,藤巻看護師,搬送後は自力でTECCMCまで帰院願いますm(_ _)m

☆ドクターヘリ4件目 墜落外傷

松井先生,藤巻看護師が無事帰院.しかし,息つく暇なく出動PHSが一斉に鳴ります.医療スタッフの3人はダッシュでヘリポートへ!

「年齢,性別不詳.川への転落.」との情報です.覚知同時要請.ヘリは5分少々でランデブーポイントへ着陸,そのまま支援車で現場に向かいます.これが覚知同時要請の利点,最短での医療介入開始です.

現場に到着すると,患者さんがちょうど救出され車内収容されるところ.びしょ濡れの衣類を裁断しつつ外傷初期診療を開始します.呼吸,循環,意識は問題なし.FASTもnegative.しかし,左股関節部に変形を認めます.骨盤骨折?大腿骨骨折?いずれにせよ,外傷はTECCMCへ.医療スタッフは救急車に同乗しランデブーポイントへ.

雪の残るグラウンドではストレッチャーが自由に操作出来ません.全員で患者さんが固定されたバックボードは抱えヘリ機内へ.離陸後機内をヒーターで十分に暖めながら搬送です.


TECCMC搬入後,やはり予想通りの結果でした.



本日はドクターヘリの運航力を見せつけられたミッションでした.これも消防の皆様の適切かつ早期からの要請があってこその成果です.

本日もご協力,ご支援いただき誠にありがとうございました.お疲れ様でした.

2011年2月5日土曜日

2月5日 院外スタッフ会議

院外スタッフ会議,平たく言えばフライトスタッフでお食事会(飲み会)を催しました.夜勤者がいるので全員揃うことはありませんが,たまには仕事を離れた「会議」も大切ですね.

京都でドクターヘリ,行政の枠を越えた救急医療の話をさせていただきました.明けでの日帰り移動はなかなかこたえますが,この地域の取り組みを少しでも広報でき,何らかの「break through」につながればと思っております.

本日のドクターヘリ・カー担当は岡先生,三浦先生,清水看護師です.2件の出動に対応させていただきました.

☆ドクターヘリ1件目 心不全

覚知同時要請.安定した状態で直近の救命救急センターへ搬送出来ました.いつもいつも快く応需していただきありがとうございます.ちなみに今回は小生の同級生が対応してくれたようです.地元のありがたさです.


☆ドクターヘリ2件目 徐脈性不整脈・循環不全

覚知同時要請.現場からの診断と薬剤投与にて安定した搬送が可能でした.ドクターヘリの威力でもあります.



本日はちょっと手抜きのブログみたいになっちゃいました・・・すみません.

2011年2月4日金曜日

2月4日 スタッフ会議

本日はフライトスタッフ会議が開催されました.日々の活動報告などはカンファレンス,朝礼,夕礼などで話し合われますが,1ヶ月に1度,フライトスタッフで集まり全体の報告,検討・協議事項の話し合い,事例検討を行います.厳しい意見もありますが,スタッフ間の考え方を統一し「質」を保つためにも必要な会議と位置付けております.

さて,本日は朝からバタバタしておりました.回診直後から診断的腹腔洗浄,そのまま緊急開腹術.当院からの施設間搬送の調整.抜管にCHDF離脱に導入.重なる時は何かと重なるものです.

本日のドクターヘリ・カー担当は小林,番匠谷先生,濱看護師.天候も問題ありません.

☆ドクターヘリ1件目 施設間搬送(小児脳炎,急性水頭症)

専門的精査・加療目的に施設間搬送です.脳圧のコントロールを行う必要があるため,飛行高度に配慮します.無事,ヘリポートに到着し救急車に乗り換え搬送,引き継ぎを終えヘリポートまで戻ってきます.

陸送の施設間搬送であれば2時間以上かかりますが,ヘリだと1/4の時間です.重症度の高い患者さんにこそ,ヘリの機動性が有用性を発揮します.


☆ドクターヘリ2件目 離陸後キャンセル

施設間搬送を終え,TECCMCへ帰投している最中に要請が入ります.覚知同時要請.「意識朦朧.」との情報です.ランデブーポイントは帰投経路上にあります.濱看護師はすかさず準備開始.すると,「救急隊現着時,意識清明.ヘリキャンセル」と無線が入ります.重症でなく幸いでした.早期の要請,いつもありがとうございます.

ドクターヘリは何事もなかったかのように,そのまま飛行し帰投します.

☆ドクターヘリ3件目 重症頭部外傷

「転落後の意識障害.」にて同時要請です.ヘリは10分もかからず雪解けしたランデブーポイントのグラウンドに着陸.


そして,いつも通り支援車で現場に向かいます.支援隊の皆様,いつもいつもありがとうございます.


現場では救急隊が活動中.意識朦朧状態で意思疎通困難な患者さんを全脊柱固定しています.やはり転落による頭部外傷か・・・?番匠谷先生は呼吸,循環が問題ないことを確認し,頭部の血腫も確認します.不穏が強すぎ,安全な搬送は困難と判断,薬剤を使用し鎮静します.医師が現場から医療を行う意義がこんな場面でも垣間見られます.

救急車に同乗しランデブーポイントまで移動,そしてヘリのストレッチャーに乗せ換え速やかにTECCMCへ搬送です.


そして,ヘリポートからのdirect trauma CT.現場からすでにprimary survey, secondary surveyがなされているからこその手法です.・・・やはり重症頭部外傷!「初療に入って,麻酔をかけちゃいます!脳外科チーム呼んで,緊急手術!!」

ヘリの機動性が後遺症軽減につながった可能性のある1例です.



今宵は岡先生,三浦先生,小林が夜勤.スタッフ会議も終了し,今からは穏やかな時間が流れますように・・・と,思っていたら本日2人目,3人目の頭部外傷が搬入されました・・・

2011年2月3日木曜日

2月3日 世間は節分

世間は節分.恵方巻きの丸かぶりを皆様はされましたでしょうか?

恵方巻きはこう食べる!

1)恵方(2011年は南南東)を向いて,願い事を思い浮かべながら.
2)途中でやめず,一気に食べ切る!
3)食べている間は終始無言で!黙々と!
だそうです.皆様にも我々にも「福が来る」ことをお祈りします.


本日,小林は24時間勤務明けで佐賀の病院におじゃまし,災害医療に関するお話をさせていただきました.JR福知山線列車脱線事故(もう6年も経ちます)での現場活動,多数傷病者同時受け入れの経験などから,災害時・多数傷病者発生時に必要な病院の準備・対応などについてのお話です.皆様非常に熱心に聞いていただきました.ありがとうございました.


24時間勤務明けの豊岡〜佐賀 弾丸日帰りツアーはなかなかのものでした.センターに帰ったのが日付変わった2時.姫路からの公共交通機関がもう少し便利よくなれば良いのに・・・と思いつつ帰ってきました.


本日のドクターヘリ・カー担当は岡先生,岡本先生.記録からの抜粋報告です.


☆ドクターヘリ1件目 院外心肺停止


覚知同時要請です.「意識なし.」との情報だけです.ランデブーポイントから支援車で現場へ.現場活動中の救急隊と協力しての治療開始です.病院搬入よりもかなり早く医療介入が実現しています.厳しい状況には変わりありませんが,現場での医療トリアージにてかかりつけの近隣病院へ救急車同乗にて搬送となりました.


☆ドクターヘリ2件目 離陸後キャンセル


☆ドクターヘリ3件目 小児痙攣重責


覚知同時要請です.ランデブーポイントで救急車とドッキング.持続する痙攣に対して,現場からの薬剤投与が有効な事案です.緊急性の高い事案,末梢血管が見えません.岡先生は迷わずBIGによる骨髄路を確保.痙攣を止めることに成功しました.


先日,国土交通省の方が事業視察にお見えになられました.何の事業?実は当センターのドクターカー事業です.当センターのドクターカーは構成市町からの補助金と国土交通省の助成金で事業運営されています.全国的にも珍しい事業形態かと思います.このあたりのことは,3月の地方会などで岡本先生が発表いたします.


フラッシュの光で蛍光帯が目立つ写真ですが(^_^;



本日も皆様,お疲れ様でした.

2011年2月1日火曜日

2月1日 ドクターヘリの威力

ICUの重症度も上がり,毎日のベッドコントロールに頭を悩ましております.まあ,何とかなるでしょう.

久しぶりの高気圧に覆われ,ヘリの運航に問題なし.本日は小林,松井先生,安積看護師が担当です.

☆ドクターヘリ1件目 墜落外傷

朝の点検中に要請です.朝は人の動きがあるため,事故も多い傾向にあります.資機材の積み込み,点検を早々に終え,JA822Hドクターヘリは久しぶりの現場に飛び立ちます.

「高所からの墜落.意識なし.」との情報,覚知同時要請です.神鍋高原の雪景色を眼下にらデブーポイントへ向かいます.10分程度でランデブーポイント上空へ到着,除雪も万全で安全に着陸します.


現場は数分のところ.すでに現場出発した救急隊をしばし待つことになります.


ほどなく救急車到着.松井先生と救急車内に乗り込み外傷初期診療を開始です.ABCはOK.しかし,頭部に外傷があり,意識レベルは清明ではありません.頭部外傷.TECCMCの絶対適応です.速やかにヘリへ患者さんを乗せ替え,ドクターヘリは細かな雪を舞い上げながら離陸します.

primary surveyは機内でクリア出来ています.いつも通り,ヘリポートからCT室へ.外傷プロトコールでのtrauma CT.やはり予想通りの結果.陸送であれば1時間はかかるでしょう.やはりヘリは医療介入開始も搬送時間も「早い!」.これが最大の威力です.

☆ドクターヘリ2件目 施設間搬送(大動脈解離)

施設間搬送の依頼です.非常に緊急度の高い患者さんです.時間との勝負.要請に書類書きも面倒な手続きも必要のないドクターヘリ.こんな場面でもお役に立てます.

無事,患者さんを引き継ぎ搬送させていただきました.山陽側のランデブーポイントでは旧知の救命士さんたちが搬送,支援におられました.「顔の見える関係」は良いものですね.


☆ドクターヘリ3件目 離陸後キャンセル

救急覚知同時要請です.「乗用車の横転事故.閉じ込めあり.」との情報です.機内では医療スタッフの安全について確認,現場投入も視野にいれ準備を行います.現場上空付近に到着.すると,「傷病者自力歩行可能.観察上も問題なくヘリキャンセル.」とも連絡です.大事に至らず良かったですね.覚知同時要請がさらに徹底されてきました.病院前救急医療が浸透したすばらしき地域です.



天候に悩まされない日は現場も我々もストレスがありません.本日もお疲れ様でした.