2011年5月2日月曜日

5月2日 デビューその2

本日は長嶺先生のドクターヘリデビュー日.小林と共にon the job training開始です.


☆ドクターヘリ1件目 トラクターの転落・頭部外傷

回診中,その時がやってきました.一斉PHSが鳴ります.長嶺先生の初出動です.3階のICUから階段でヘリポートまでダッシュ!ドクターヘリに乗り込みます.

シートベルト装着,ヘッドセット着用.JA822Hドクターヘリは離陸します.医療無線で傷病者情報を聞きます.「ドクターヘリ豊岡1から兵庫豊岡.傷病者情報をお願いします.」今日は小林が無線から実例を提示します.TECCMC's Doctor Heli.はこの時点で初めて傷病者情報を知らされます.

「年齢不詳.男性.トラクターごと転落し下敷き.」覚知同時要請.情報は以上です.この情報を元に輸液,エコー,必要機材の準備を機内で行います.

15分後,上空から現場状況を確認し,ヘリは山間の谷間に着陸.覚知同時要請なので,救急隊がまだ現場活動中です.救急車を待たせないこと,早期医療介入では大切なこと.だから覚知同時要請が大切なのです.こんなこともon the job trainingで感じ取ってもらいます.

程なく救急車がランデブーポイントに到着.救急車内で外傷初期診療開始です.長嶺先生の初病院前救急診療.狭い車内でどう位置取りをし,どう動くか.最低限しなければならないこと,そして現場・ランデブーポイント滞在時間を最短にするためにはどうするか,体で覚えます.

気道開通,呼吸は問題なし,循環も安定,しかし意識レベルはE3V4M6,頭部に外傷があります.FAST negative. 頭部外傷が疑われます.搬送先は一番近い救命救急センターへヘリ搬送です.陸送なら50分近くかかりますが,ヘリだと10分もかかりません.速やかにヘリ機内へ患者さんを収容し離陸です.ランデブーポイント滞在時間は10分.TECCMC's Doctor Heli.の標準です.

無事,搬送先の先生に引き継ぎ,申し送りを終え,帰投です.気がつけば長嶺先生は汗だくでした.初フライト,お疲れ様でした.

☆ドクターヘリ2件目 脳梗塞

初フライトを終え,ホッと一息の長嶺先生.しかし,帰投中も油断出来ないのがドクターヘリ.無線で次事案の要請が伝えられます.ヘリはそのまま指定されたランデブーポイントへ目標地点を変更,全速で向かいます.

覚知同時要請.脳卒中は発症から治療開始までの時間が後遺症に直結します.だから搬送時間を短縮出来るドクターヘリが有効なのです.その有効性を引き出すポイントはキーワード方式による覚知同時要請.そして,現場の医療トリアージによる病院選定,これが大切です.

数分後,ランデブーポイントに着陸,救急車の到着を待って診療開始.「CPSS 1項目要請,発症時間は・・・」救急隊の申し送りも的確です.脳卒中は間違いなし.ABCが問題なければ搬送優先です.速やかにヘリへ搬入しTECCMCへ.

ヘリポートからのdirect CT.やはり予想通りの結果が,発症から30分以内につきました.




今日は長嶺先生がデビューしました.これから前山先生,池田先生と現場に出ます.消防の皆様,何卒よろしくお願い申し上げます.