2011年6月5日日曜日

6月5日 日常

学会も終わり,センターに日常が戻ってきました.何が日常?・・・っと,答えにつまりますが.


今宵は夜勤です.初期研修医の先生がWALK INの患者さんのfirst touch.
「心窩部〜右季肋部の圧痛.エコーで胆嚢が腫大してそうで・・・熱もあります.」
「確かに胆嚢腫大してるね,壁肥厚はちょっとだけ,三層構造なし,fluidなし,っと.じゃあ,何を考えてどうする?」
「胆嚢炎を考えて採血を.」
「CTは要らない?」
「あっ,CTも撮ります.」
「採血結果などから胆嚢炎の重症度評価をして,治療方針を決めるけど,ガイドラインは知ってる?」
「えっ・・・・・・・!ガイドライン・・・・・・」
「ハイ,これね.これが急性胆嚢炎・胆管炎のガイドライン.診断基準から治療指針まで載ってるからよ〜く読んでくださいね.」
などと1例1例にやりとりをしながら外来を進めます.小生の研修医時代は「放置プレイ」「先輩の背中を見て学べ!」が当たり前.時代も様変わりです.

などと思いつつ,他の患者さんを診察していると,「先生,CTなんだか変なものが・・・」と先ほどの研修医の先生.どれどれと一緒にCTを眺めると,肝内胆管に気腫,ついでに胆嚢壁内にも気腫.ありゃっ,気腫性胆嚢炎だわ!急性胆嚢炎でも重症に分類されます.もう一度患者さんを診て,バイタルが安定していることを確認,でも熱が上がっています.血液検査上はまだ問題はなさそう.血液培養とって,緊急手術です.今なら最良の状態で手術が出来ます.幸部先生を呼び出し,小林,池田先生で緊急手術となりました.

研修医の先生にとっては診断プロセス,治療までが経験でき,非常に良い症例ではなかったでしょうか.この症例,どこかで見落としがあると患者さんは急変しています.研修医の先生,確実に良い仕事をしました.これが救急医学,救急医療の一端です.


本日のドクターヘリは小林,池田先生,林看護師が担当です.本日は4件要請,4件出動.

☆ドクターヘリ1件目 痙攣重積

池田先生がカップ麺を食べ終わり,汁まですすった直後に覚知同時要請です.「マラソン中に痙攣.」との情報.Vf?機内では準備が進められます.

ランデブーポイントに着陸.緊張の面持ち,救急車の到着を待ちます.


 <林看護師の屈伸運動>

救急車到着.痙攣は消失,過換気状態.循環はOK.速やかに機内へ収容.さてTECCMCへ搬送です.

と,その時「別件要請です!場所は・・・」と機長さん.ランデブーポイントはTECCMC帰投途中です.ならば,小林,林看護師を次の事案に降ろして,池田先生が1件目の患者さんを搬送です.重複事案に強い2 flight doctor制.

☆ドクターヘリ2件目 縊頸

1件目のランデブーポイントを離陸,数分後に2件目のランデブーポイントへ着陸し小林,林看護師は支援車に乗り込みます,そしてヘリは再離陸.JA822Hを何度地上から見送ったことでしょう.

支援車は医療スタッフを乗せ,現場へ.覚知同時要請だからこそ現場まで医療スタッフが行けるのです.最速の医療介入開始!

現場では救急隊,支援隊と共に治療と搬出を行います.現場のプロである消防の方々に搬出経路,方法をお願いし,我々は治療に専念します.

最短で救急車へ搬入,医療スタッフ同乗で直近の病院へ搬入させていただきました.応需いただきありがとうございます.

☆ドクターヘリ3件目 離陸後キャンセル

覚知同時要請では離陸後キャンセルは当たり前.キーワードに従った要請,ありがとうございます.

☆ドクターヘリ4件目 小児交通外傷

ここ数日,連続の小児交通外傷です.温かくなりましたが,皆様,どうぞお気を付け下さい.もちもん,覚知同時要請です.

現場上空から救急隊の活動が見えます.受傷機転も予測可能.そして,救急隊が出発と同時にヘリはランデブーポイントへ向け降下・・・

119番通報から20分で外傷初期診療開始.まだまだgolden hour内.頭部外傷!? そしてその10分後にはTECCMCでdirect CTが撮影され始めました.


徹底した現場からの医療開始,その結果,多くの患者さんに有益な医療を提供させていただくことが出来ています.まだまだ,余力はあります.遠慮無く,どんどん我々を使ってください.


本日もお疲れ様でした.綺麗な夕陽をバックに後片付け.良い季節です.