2011年4月30日土曜日

4月30日 4月中旬からまとめて

久しぶりの更新です.皆様,お元気でしょうか?院内は5月からの新しい電子カルテシステムの導入・切り替えで混沌としております.小林は日々の仕事とたまるばかりの雑務に忙殺され,気がつけば・・・ブログの更新が!というわけです.まあ,twitterでつぶやきつつ,日々のまとめをしております.そちらもfollowしてください(ブログ上でも閲覧可能です).




さて,新年度に突入し1ヶ月が経ちました.今月のドクターヘリの運航状況です.

・要請件数 99件(現場 90件,施設間搬送 9件)
・出動 80件(現場 69件,施設間搬送 7件,離陸後キャンセル 4件,離陸前キャンセル 19件)

医師を現場に早期に引っ張り出す意義を,消防の皆様が理解されている地域であることが今月も示されました.その結果,恩恵を受けるのはそれぞれの地域住民の皆様です.我々もその一端を担っていることに喜びとやりがいを感じております.今後も引き続きよろしくお願い申し上げます.




今月中旬以降のセンター内,ヘリなどなどダイジェストでお届けします.

毎朝,格納庫からヘリを引っ張り出します.

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そして,運航終了後はスキットに車輪を取り付け格納です.番匠谷先生がヘリ番の時,毎回ギャッジアップをお手伝い.上腕二頭筋の訓練だそうです.

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現場直近に着陸.意識障害の患者さん宅までダッシュ.救急隊と共にご自宅で治療を開始します.究極の往診.これがドクターヘリの本来あるべき姿なのでしょう.


そしてこちらも現場直近.ダッシュで患者さんのもとへ.北近畿は探せば安全な着陸場所があります.


上空から事故現場を確認し,直近かランデブーポイントかを消防の方と短時間に協議し決定します.上空から見た事故現場はこんな感じです.アドレナリンを出さず,冷静にミッション方法を検討している瞬間です.



さて,こちらはランデブーポイントから支援車で移動.そして軽自動車しか走られないあぜ道を資機材背負って数百メートルダッシュ.Vf症例.現場からALSを施行しつつオートパルス装着.これで搬送中も有効な胸骨圧迫が可能です.ストレッチャーで移動,救急車収容しランデブーポイントからドクターヘリへ収容.そして直近の基幹病院へ搬送させていただきPCPS導入となりました.消防の皆様,搬送先の先生方,ありがとうございました.


ランデブーポイントの写真です.

雨にたたられることもあります.スタッフはびしょ濡れになりつつがんばります.


雨のランデブーポイントをもう一枚.桜がきれいですが,雨桜.空模様を気にしつつ救急車を待ちます.


こちらは芝生のランデブーポイント.学校であったり,公園であったり.砂塵の心配もなく,散水の必要もありません.ヘリにも消防にも周辺住民にもやさしいランデブーポイントの1つが「芝生」です.学校の校庭の芝生化,個人的には良いことだと思っております.


そして舗装されたランデブーポイントはさらに安心です.ランデブーポイントにこのようなお知らせ看板を設置してくださっている消防本部さんもあります.ヘリのイラストはTECCMCのデザイナー・番匠谷先生です.


地域の拠点病院が近くにあっても,重傷者の同時搬入は厳しいものです.腹部刺創患者と重症熱傷患者が同時発生.消防は迷わずヘリ要請.出血性ショックが疑われる刺創患者を直近の対応可能な病院へ救急搬送.そして,熱傷患者はランデブーポイントに着陸したドクターヘリへ.重傷者の分散搬送は医療力を維持するためにも必要な戦略です.まさに消防本部のナイス判断!熱傷患者は気道熱傷,顔面もIII度熱傷.今後の治療とチューブ固定を考え,エアウエイスコープ補助下に経鼻気管挿管を救急車内で速やかに行いTECCMCへ搬送です.搬入後,フルモニタで重症熱傷管理開始!写真は救急車を待つドクターヘリ.


さて,救急車をランデブーポイントで待つこともあります.そんなスタッフをとらえてみました.




ランデブーポイントで待つよりも,支援車で現場に向かうことが多いのがTECCMC's Doctor Heli.の特徴です.医療スタッフが現場に行っている間,ドクターヘリはどうなっているのでしょうか?運航スタッフの方々が見守ってくれてます.そんな中でも地域住民の皆様へ見学会を開くことも時々あります.「これがドクターヘリです.中身は・・・」こんな見学,啓蒙が地域の皆様へのご理解を得る一つの方法でもあります.ランデブーポイント周囲にお住まいの皆様には騒音,砂塵などでご迷惑をおかけしておりますが,人命がかかっている状況です.多大なるご理解とご協力に感謝申し上げます.なお,救急車がランデブーポイントに向かい始めると見学会は速やかに終了となります.こんな命の現場を見た子供達が将来我々の仲間になってくれるとうれしいですね.


とある一日,何件もの事案(3府県をくまなくカバー)を無事こなし,燃料補給に寄った鳥取空港です.要請時間も終了し,給油後はTECCMCへの帰投だけ.皆,ちょっとリラックス.「グリコ」ポーズは清水看護師のようです.







今月も2 flight doctor制をフルに活用した重複事案対応,キーワード方式の要請による早期医療介入の提供と救命例など,充実したヘリ運航が行われました.来月も引き続きよろしくお願い申し上げます.




さて,院内ももちろんがんばっております.重症敗血症に対する急性血液浄化療法.これを並列で同時に施行しつつ,ICU内で小手術です.幸部先生,松井先生が担当してくれました.





来月はもう少しまめにブログ更新します.お疲れ様でした.














2011年4月25日月曜日

4月25日 記者発表

2010年度ドクターヘリ事業の記者発表を行いました.運航状況は3月31日のブログをご参照ください.

http://teccmc.blogspot.com/2011/03/331.html

テレビ局にも取り上げていただきました.ABCさん,KTVさんの動画をアップいたします.ご参照ください.なお,2010年度は運航開始が4月17日からとなっております.2010年度としての出動回数が847件ということです.丸々1年となるとABCさんが放映された数になります.

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さて,6年前の今日はJR福知山線列車脱線事故が起こった日です.現場で医療指揮を執ってから早いもので6年.災害医療は感情にふたをして・・・常に口にしていることです.しかし,今日は1人の関係者として献花に行ってきました.昨年はヘリ事業と救命救急センター診療開始で行くことが出来ませんでしたが,毎年変わらぬ風景がそこにはありました.




夜は東京へ移動し,別件の仕事です.後日その詳細はお知らせします.



2011年4月14日木曜日

4月14日 デビュー

本日は吉山先生のデビューフライト.なかなか手荒い歓迎でした.

小林,吉山先生,安積看護師でフライトです.6件要請の6件出動.重複要請はなく,適当な間隔での連続要請です.

薬物中毒,離陸後キャンセル,交通外傷,狭心症(直近の病院への救急車同乗搬送),心不全,施設間搬送(狭心症疑い)と多種多様な事案,対応でした.

デビュー後の感想;「ヘリは現場に着くのも,現場からTECCMC搬送もメチャメチャ早い!ヘリの有用性を実感した.僕のいる地域と比べると,救急隊が病院選定,連絡している間にヘリ搬送で全てが完結してしまう感覚.」 興奮冷めやらぬうちに1日が終了です.お疲れ様でした.

事故現場の上空

 事故現場直近の土手に着陸.救急車の到着を待ちます.

 救急車に同乗し搬送中の吉山先生を待っている間の1枚.本日も晴天!

 散水の必要なし!芝生のグラウンドはヘリにも住民にも消防にも優しい(^_^).

 ドクターヘリと桜並木.春です.



来月はさらに3名のフライトドクターがデビュー予定.on the job trainingを兼ねた2 flight doctor制がますます充実します!

2011年4月13日水曜日

4月13日 連続出動と初療大荒れ

本日は7人,救命救急センターへ入院.朝から翌朝まで初療は大荒れでした.そんな中だからでしょう,緊急手術も飛び込んできます.S状結腸穿孔,敗血症性ショック.EGDT,ストーマ増設と徹底した腹腔内洗浄,術後はフルモニタによる循環管理.acute care surgeryは外科+救急+集中治療の知識,技術が必要です.周術期管理を全て一貫して行うべき分野.本邦でも少しずつ認識されつつあります.今後は学会レベルで一般市民の皆様への啓蒙も必要かもしれません.

本日のドクターヘリは小林,松井先生,林看護師です.豊岡ドクターヘリを象徴するかのような1日です.

☆ドクターヘリ1・2件目+離陸前キャンセル CPA・呼吸困難・小児痙攣

午後1番でヘリ要請です.救急覚知2分後の覚知同時要請.ヘリは指定されたランデブーポイントが散水のため,着陸に時間を要すると判断し,地上支援隊と協議,協力をもらい,隣のアスファルト駐車場に着陸します.


程なく救急車到着.車内で気管挿管,ルート確保,オートパルス装着し9分で機内収容,TECCMCへ搬送です.

離陸直後に2件目の要請.TECCMCのヘリポートでホットローディングのまま患者さんを池田先生へ引き継ぎ再離陸です.

2件目も同時要請.いつものランデブーポイントに着陸.救急車内での診療を行っていると,「先生!別要請です!!」と機内スタッフから.

今の患者さんの病状,既往から直近かかりつけ病院への搬送が適切と判断し,松井先生のみ同乗で救急車搬送とします.

小林,林看護師は機内へ戻り,離陸準備.松井先生を乗せた救急車が出発した直後,「ヘリ要請,キャンセル.」と運航管理室から連絡.松井先生,ゴメン・・・と思いつつもTECCMCへヘリは帰投します.

☆ドクターヘリ3件目 小児痙攣・意識障害

ヘリがTECCMC帰投し,給油を完了した直後に要請です.救急覚知時刻とヘリ要請時刻のタイムラグ0分.医師現場派遣の重要性と有用性を認識している,この地域の消防本部の意識の高さが反映されています.

松井先生はまだ前事案から帰院していません.小林,林看護師で出動です.

ヘリは5分もかからずランデブーポイントへ.程なく救急車も到着し,診療開始です.幸いにも痙攣は消失,しかし意識状態は朦朧.一緒に来ているお父さんもパニックになっておられます.

気道,呼吸,循環の安定化を確認し,速やかにTECCMCへ搬送.小児科の先生へ引き継ぎます.

救急覚知から20分でTECCMC搬入です.通常であればこの倍以上は時間がかかります.

☆ドクターヘリ4・5・6件目 施設間搬送・転落事故・頭部外傷

3件目を搬入して束の間,他院からTECCMCへ脳内出血の患者さんの施設間搬送依頼です.緊急手術の可能性もありヘリ要請となります.

ヘリはいつものランデブーポイントへ到着,救急車を待ちます.松井先生,お疲れの様子か,トーマスバックが重いのか転倒・・・


ランデブーポイントへ患者さんを乗せた救急車が到着,同乗された先生から申し送りを受けます.すると運航管理室から「別件の要請です.乗用車が崖から転落.場所は・・・」との連絡.目の前の患者さんも急ぎます.別件事案も急ぎます.別件事案発生場所はヘリで5分もかからない所.TECCMC搬送経路を少し外れた場所です.

「松井先生は脳内出血の患者さんをTECCMCへ.小林,林看護師はTECCMCへ向かう途中で別事案に降りて現場へ向かいます.松井先生はTECCMC搬送後,またヘリと共に戻ってきてください.」

脳内出血の患者さんを機内へ収容し,離陸.この間5分もかかりません.そして転落事故現場へヘリは向かいます.

5分もかからず事故現場上空へ.事故現場は山頂付近.下から支援車で上がるよりは山頂付近へ着陸しダッシュした方がはるかに早いと判断します.ヘリは消防の許可をもらい上空から安全を確認し山頂付近へ着陸.医療スタッフは資機材を担いで現場付近まで数百メートルをダッシュです.

市民の方から提供していただいた写真です.


事故現場は山頂付近の山道から崖下約30m.すでに救急隊,救助隊が降りて活動しています.現場の指揮官に確認し,現場への医療投入が患者さんにとって最善であると判断します.

小林,林看護師は資機材を背負い,ロープを伝って現場へ降ります.患者さんは乗用車ごと転落され,車外放出されたようです.状況は頭部外傷,胸部外傷.重症度の高い状態です.急ぎましょう.


現場の全員で協力して崖下から山道までロープ救助.その上空にドクターヘリが.そんな中,別事案のヘリ要請です.「頭部外傷,意識混濁.」 本事案の救助までは時間を要します.ならば別事案対応後にこちらに戻って来ても十分間に合うと判断,ドクターヘリは別事案へ松井先生を乗せ出動します.

本事案は人力で藪の中を救助,何とか救急車内へ搬入.さて,あらためて医療開始です.そしてそのころ松井先生は頭部外傷の患者さんを救急隊と共に診療,TECCMCへ最短の時間で搬入してくれていました.

山道から転落車両を見る.藪の中で良くわかりませんが・・・

救急車はランデブーポイントへ向かって出発.ドクターヘリはTECCMCで給油後に離陸,TECCMCへ向かった救急車と隣の消防本部管轄の適当なランデブーポイントでドッキングとなります.

本患者さんは腎損傷に対するTAE後,頭部の緊急手術となり救命することが出来ました.

関係各方面の皆様には人命を最優先に考えていただき,最善の対応をしていただきました.その甲斐あって1つの命が救われています.ありがとうございました.



2 flight doctor制とそのシステムを有効活用しようと思う消防本部.ドクターヘリの一番の目的は「早期医師現場投入」です.救急医療システムとして完全にこの地域に根付きました.今後ともよろしくお願い申し上げます.



余談:この夜,夜勤に入った某センター長は久しぶりの山岳事案対応でぐったりしていたとかいないとか・・・



2011年4月11日月曜日

4月11日 穏やかな日

初療,ICUと穏やかな時間が流れます.

ドクターヘリ要請もなし.こんな日も必要です.つかの間の休息.

日本航空医療学会へ昨年度の報告書を書かなければ・・・医療クラークの糸賀さんが一生懸命統計をまとめてます.

某機長さんお手製のペーパークラフト集.機内,車内装備もバッチリ再現!

2011年4月10日日曜日

4月10日 ERL

午前中の初療は非常に穏やかな時間が流れていました.ドクターヘリ要請もなし.救急車の搬入件数に比例してヘリ要請も増えるので,世間が平和な証拠です.


しかし,その静寂を破るようにドクターヘリ出動の一斉PHSが鳴ります.本日のドクターヘリ担当は小林,幸部先生,林田看護師.


☆ドクターヘリ1件目 トラクター転落


救急覚知同時要請です.「橋からトラクターが転落.傷病者は年齢,性別不詳.」との内容です.約10分でドクターヘリは消防支援隊の協力で現場直近に着陸,最速の医療介入開始の場を提供していただきます.



患者さんを救助,収容した救急車がすぐにやってきます.詳細はやはり不明ですが,トラクターごと用水路に転落したことは間違いないようです.いつ転落したかも不明.

提供していただいた現場写真.受傷形態がこれで想像出来ました.

救急車内で外傷初期診療開始.FAST negativeですが,橈骨動脈は触知不可.用水路にはまっていたこともあり低体温状態.気道,呼吸は保たれており,加圧バッグで初期輸液しつつ機内収容します.ドクターヘリの目的は早期に医師を現場投入することによる早期医療介入の実現と搬送時間の短縮・根治的治療開始までの時間短縮です.

機内で輸液が入っても循環は改善しません.体温も低く不穏状態も強くなります.やはり出血性ショックが改善しない!輸液に反応しない出血性ショックは気管挿管の絶対適応.飛行中の機内でRSI.Airwayscopeを使用しシートベルト装着下でも安全に気管挿管を実施します.

TECCMCのヘリポートへ到着.「出血性ショック.緊急輸血の準備.骨盤骨折が原因の可能性も高いのでIABOの準備.」日勤責任者の岡本先生へ伝えます.

初療室搬入.頸動脈がかろうじて触知出来る状態.FASTで腹腔内に出血!?現場ではなかったのに.レントゲンが出来ます.open book型の不安定型骨盤骨折!IABOを挿入し,動脈性の出血を制御しつつ創外固定とパッキングの準備.

しかし,腹部が膨隆しFASTで腹腔内出血が増えてきます.一刻の猶予もありません.「ERL!同時に骨盤の創外固定!」 小林,幸部先生,松井先生,長嶺先生,整形外科の先生で執刀.腹腔内には大量の出血があります.しかし,骨盤部のパッキング効果を考え小骨盤腔はまだ開放しません.「ここが出血源,IMAを根部で結紮止血.」動脈性の出血は制御します.しかし,後腹膜の破綻部から骨折部が腹腔内と通じており,骨折部,後腹膜からの出血がじわじわ続きます.「ガーゼパッキングし,創外固定.」術野に一緒に入っていただいている整形外科の先生と松井先生で創外固定をたてます.これで骨盤骨折の安定化をはかり,そして再度腹腔内の再止血とパッキング.しかし,臨床的な凝固障害は遷延します.1:1:1 輸血でも循環,止血機能,体温が立ちあがりません・・・

外傷評価では,ドクターヘリ現着時RTS 4.45(予測生存率50%以下,重症外傷),ISS 41,TRISS Ps
0.114(外傷の重症度から算出された予測生存率は11%)と最重症の患者さんでした.

的確なヘリ要請で現場あるいは搬送中の心停止はドクターヘリにてなんとか回避出来ました.しかし,受傷から時間が経っている事が想像され,受傷から1時間以内の根治的治療がかないませんでした.

病院前救急医療システム,院内システム(緊急輸血体制,救急・外傷外科医の存在,初療開胸・開腹体制,看護体制など)を整備,構築しても受傷からの時間を止めることは出来ません.くやしい思いをしたことしか記憶に残らないものです.

☆ドクターヘリ2件目 胸痛発作

ERLの最中に要請です.幸部先生が手をおろしヘリに向かいます.「胸痛発作.」との情報.現場で診察,12誘導心電図,心エコーでは問題なさそう.初療もごった返している状況でもあり,直近の地元の病院が快く応需してくださり,救急車同乗で搬送いたしました.

現場からの医療トリアージが機能した事案です.ご協力いただきました皆様,ありがとうございます.



夜間はICU担当の松井先生が頑張ってくれます.この4月から3名の救急医が増えました.各勤務帯に1名の救急医の増員は非常に心強く,スタッフ全員に心と体の余裕を与えてくれます.新しい先生方を加え,より一層,救急医療に邁進したいと思います.



2011年4月9日土曜日

4月9日 元気をいただきました

本日のドクターヘリ,カー担当は小林,番匠谷先生,藤巻看護師.朝は皆で準備です.

番匠谷先生がギャッジアップ.上腕二頭筋のトレーニングだそうです.


そして,昨日までの穏やかな時間は朝一番のヘリ要請で消し飛びます.

☆ドクターヘリ1件目 目撃ありCPA,Vf蘇生後

覚知同時要請です.ヘリのランデブーポイントとしては最短の場所.この距離であれば現場直近に支援車を待って着陸するよりは,支援車で現場に移動.


患者さんのご自宅へおじゃまし,治療を開始,直前に救急隊が除細動で心拍再開させていました!良しっということで気管挿管を畳の上で行い搬送開始です.ご自宅での治療中に支援隊の方々がヘリを直近の農道まで誘導してくれています.患者さんを中心に考えたこの連携が早期医療介入と搬送時間の短縮につながるのです.ご自宅から速やかにヘリへ搬入,TECCMCへ向かいます.


ヘリ搬送中に心臓カテーテル検査,脳低温療法などをオーダーします.推定心停止時間23分.脳蘇生へ挑みます!

(4月10日,脳低温療法終了.すると・・・意識レベルE4V4M6,ちゃんとコミュニケーションがとれるまで回復されています!)

☆ドクターヘリ2件目 小児アナフィラキシーショック

4歳の男の子.卵アレルギーがあるそうです.たまたま食べたソーセージに卵が使われていたようで・・・あっという間に顔面浮腫,全身紅斑出現,呼吸困難も出現します.

救急隊現着.アナフィラキシーショックと救命士はすぐに判断し,直近の病院へ搬入依頼をかけます.ところが,2病院に受入を拒否されてしまいます.目の前の男の子はグッタリしています!

「ドクターヘリ要請.」救命士は判断します.本当は覚知段階での要請が患者さんにとっては最良の救急医療です.ヘリ要請しつつ直近の病院へ受入要請をかけ,病院が受入可能であればヘリをキャンセルするだけ.現場は患者を中心に動くもの.もっともっと意識を変えないといけない部分・組織・体制があるのでしょう.

ドクターヘリは全速でランデブーポイントへ向かいます.ランデブーポイント到着.待ち構えていた救急車内で診療を開始します.男の子はグッタリ,顔は浮腫状,酸素化も悪い.アナフィラキシーショック,緊急度の高い状態です.


番匠谷先生はエピネフリンを投与,そして,H1, H2 blocker,ステロイドも投与します.「わかる?大丈夫?」男の子はちゃんと返事を返してくれるようになりました.

治療を行いつつ,TECCMCへ搬送です.

☆ドクターヘリ3件目,そして4件目 脳血管障害と縊頸

2件目の男の子を初療へ搬入し引き継ぎ中に要請です.「右半身麻痺.脳卒中疑い.」 覚知同時要請が徹底されている地域からの要請です.

ドクターヘリは5分ほどでランデブーポイント上空へ到着.支援車の到着を待って着陸します.上空から現場は確認しています.ちょうど先ほど救急車が現場到着したところ.我々も支援車で現場に向かいましょう!

すると,機長の携帯電話が鳴ります.「○○で縊頸.年齢,性別不詳.」 こちらも同時要請です.電話で覚知内容を確認し,脳血管障害の事案は番匠谷先生のみで現場へ,縊頸事案は小林と藤巻看護師がヘリで向かうことにします.2 flight doctor制を有効に活用です.

3件目の事案は幸い麻痺も改善,一過性の脳虚血を疑い,番匠谷先生が救急車に同乗し直近の病院へ搬送です.

そして4件目の事案はヘリがランデブーポイントへ着陸した直後の救急車が到着です.


3件目,4件目共に最短での医療介入となりました.これがドクターヘリの一番の目的ですから.

4件目の事案は救急隊の現場治療をそのまま引き継ぎ,一番近い救命救急センターへヘリで搬送です.陸送で30分以上,ヘリで5分強.機内でも治療継続に奮闘しました.いつも快く応需していただきありがとうございます.



番匠谷先生は搬送先の病院から自力で帰院.小林たちも帰投します.運航管理室で各事案の報告をお互いしつつ外を見ると,何やらヘリポートがにぎやかです.「何.何??」 良く見ると2件目で搬送した男の子とそのご家族のようです.男の子はヘリの回りを走り回っています.

ということで,ご家族とご両親の承諾をいただき記念撮影とブログへの写真アップ!ホント,元気になって良かったね〜.救命士の的確なヘリ判断と早期からの医療介入がこの姿をもたらしました!「僕,ドクターヘリだいすきっ!」笑顔に元気をもらいました.

※ご両親,ご家族のご承諾をいただいて掲載させていただきました.




2011年4月8日金曜日

4月8日 内ヘルニア

緊急手術.絞扼性イレウスの術前診断です.

術者:番匠谷先生,助手:岡先生,小林.開腹すると「横行結腸間膜ヘルニア嵌頓」.内ヘルニアの1種です.まあまあ稀な疾患.術前の画像を見直しても・・・難しいですね.

手術も問題なく終了し,穏やかに夜は更けていきます.



本日はドクターヘリ,カーの要請は0件.但馬に穏やかな時間が流れます.

2011年4月7日木曜日

4月7日 トンネル内車両火災,そしてDMAT待機

再び宮城県沖で震度6強の地震が発生しました.豊岡でも震度1.仕事が終わって外食中に「なんだか揺れる?」と思いiPhoneでネットをチェック.すると「宮城県で震度6強の地震」との表示.DMATの待機基準に入ります.状況によっては翌朝ドクターヘリを再び被災地へ飛ばす可能性もあります.救命救急センターの医局に戻るとDMAT隊員が集まり始めています.数人は夜勤中.医局内でテレビ,ネット,EMISで情報を集めつつ出動に備えます.幸いにもDMATの待機要請は解除になり,参集した隊員は自宅待機とします.いったいいつになれば被災地の方々が安心して生活出来る環境になるのでしょうか・・・1日も早い復興を心からお祈りいたします.



本日のドクターヘリ・カー担当は小林,三浦先生,林看護師.天候に問題はありません.

☆ドクターヘリ1件目 胸部苦悶・急性冠症候群

覚知同時要請です.「胸痛,ショック状態.」 機内では輸液,十二誘導心電図,薬剤の準備をします.ランデブーポイント着陸し,程なく救急車も到着.覚知同時要請ならではのタイミングです.


救急車内で診療開始.輸液開始.心電図では虚血性変化ははっきりしません.既往に心筋梗塞あり.血圧は低め.眼瞼結膜は貧血気味.もしかすると消化管出血からの2次的な冠動脈の虚血?いずれにせよ救命救急センターへの搬送が適切と判断し,現場から一番近い救命救急センターへヘリ搬送.

幸いにも機内で状態は安定化し,落ち着いた状態で引き継ぎが出来ました.医療介入の短縮時間は30分以上.早期医療介入と搬送時間の短縮が得られました.

☆ドクターヘリ2件目 ショック・解放骨折

労災事故.救急隊現着後にショック状態と判断されドクターヘリ要請です.現着後要請のため,ランデブーポイントで数分,救急車に待ってもらいました.

救急車内で初期診療開始.輸液で循環は安定します.意識もしっかりされてきました.

解放骨折の緊急手術対応をお願い可能な病院を生活圏,現場の場所などから選定です.平日の夕方.当直帯に入っているため,なかなか応需に時間がかかります.院内のホットラインたらい回し.人の振り見て何とやら・・・我々も救急隊の応需には出来るだけ短時間で速やかに応じなければと反省します.

何とか担当科の先生に連絡がつき応需していただきました.ありがとうございます.搬送先はドクターヘリが初めて降りる消防本部.運航管理室が調整し,着陸地点も設定されます.

10分もかからず搬送先病院直近の着陸地点に到着,救急隊に患者さんを無事引き継ぐことが出来ました.本来であれば三浦先生が同乗し搬送すべきなのですが,選定に時間を要したため日没間際となってしまい・・・消防の皆様にはご協力いただき誠にありがとうございました(昔,某救命救急センターで勤務していた際にご一緒させていただいた方もおられ,知ったお顔があると安心いたします).


☆ドクターヘリ3件目 交通外傷・トンネル内車両火災

日没も近づき,2件目からの離陸直前に要請です.「トンネル内で事故.複数傷病者.車両火災発生.救助中.」との要請内容です.

機内には一気に緊張が走ります.まず現場は?TECCMC帰投の途中,時間的には医師の現場投入は可能.複数傷病者?トリアージタッグの準備,資機材.資機材が足りなければ消防から借りよう.トンネル内火災?ヘルメット,マスク,皮手袋,安全確認・・・一番の問題はランデブーポイントから現場まで距離があること.場所的には支援車の到着に時間を要することでしょう.また,事故形態からヘリ支援に人を避けない可能性もあります.ならば現場直近で着陸,現場の消防の方に直接安全管理をお願いしましょう.

ヘリは全力で現場へ・・・上空から現場のトンネルを確認します.南側,煙は出ていません.南側の消防本部から救急車,消防車などが出動しています.しかし,着陸に適した場所がありません.北側は?トンネル出口から煙が出ています!おそらくは現場は北側からの方が近いようです.北側の消防本部からも救急車,消防車がすでに現場到着しています.

「トンネル出口付近の休耕田に着陸可能.時間的に厳しいので医療スタッフを降ろした後にドクターヘリは帰投します.」と機長からの指示.医療スタッフはその旨了解し,準備をします.

「ドクターヘリ,トンネル出口付近の休耕田に着陸します.地上支援お願いします.」無線で地上の消防の方に連絡,許可をもらいます.


資機材を担いで現場入り口へ.消防の指揮官に医療スタッフ到着したことを報告し,今後の現場活動の方針を確認します.ドクターヘリは日没間近でありTECCMCへ帰投.

我々はトンネル内の火災が消火され,安全にトンネル内で現場活動が可能になった段階で救急車に同乗し進入することとなります.


「消火完了!救急車で進入!!」 医療スタッフは2台の救急車に分乗しトンネル内へ.


傷病者は3名.1名はすでに南側のトンネルの外へ自力で出ているようです.その方は南側の消防本部に搬送をお願いします.他の2名は?小林,三浦先生で各々の外傷初期診療を開始.1名は胸部外傷,1名は大腿骨,上腕骨骨折.トリアージは「赤」と「黄」にします.患者さんの住所,状態から2人ともTECCMCへの搬送を決定.2台の救急車に小林,三浦先生が分乗,連なって走ります.そして,TECCMCへ到着.待ち構えていた岡先生,前山先生とともに外傷診療を継続です!

全てが落ち着き,片付けが終了すると外はすっかり暗くなっていました.



そして,この夜は初療がお祭り.30分で救急車が5台搬入されたり,何かとバタバタしていました.皆様,お疲れ様でした.

2011年4月6日水曜日

4月6日 ご自宅そして現場

ドクターヘリ担当は小林,番匠谷先生,濱看護師.本日も快晴です.

☆ドクターヘリ1件目 目撃ありCPA

覚知同時要請,bystander CPRあり.ドクターヘリは10分でランデブーポイントに着陸,そこから支援車で現場であるご自宅まで向かいます.

「但馬救命救急センターです.」 玄関で挨拶をしてご自宅に上がらせていただきます.先着している救急隊が特定行為を実施,気管挿管は施行されています.番匠谷先生は末梢ルートを速やかに確保し薬剤投与.その後,効果判定をする間にオートパルスを装着します.

現場で出来ることは限られています.あとは速やかな搬送.現場から直近の病院まで20分以上かかります.ならばヘリでTECCMCへ搬送するほうが早い!と判断しヘリ搬送です.

飛行中もオートパルスを使用した良質な心肺蘇生術がなされます.ヘリポート着陸.あとは日勤責任者の岡先生へ引き継ぎです.

☆ドクターヘリ2件目 岩場からの墜落


覚知同時要請です.「岩場からの転落.」 ランデブーポイントから支援車で移動するのも距離がある現場です.早期医療介入,搬送時間短縮を考えると現場直近着陸が可能であればそれにこしたことはありません.ランデブーポイントに来ていただいている支援隊の方々には申し訳ない気持ちもありますが,傷病者最優先で考えております.いつもご協力を賜り感謝申し上げます.

そんな中,上空から現場を確認.救急隊,救助隊はまだ現場活動中です.直近の岩場に着陸可能な地点を機長さんが発見します.

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慎重に着陸.安定していることを確認し医療スタッフは現場へ向かいます.



機長さんの撮影.現場の岩場で外傷初期診療です.8mからの墜落.岩場への転落です.何が隠れているかわかりません.輸液路確保,FAST・・・


ヘリ着陸地点からはこんな感じだったようです.写真の右端が現場活動地点.


全脊柱固定し,舟形タンカを使って全員で搬送です.ストレッチャーは当然使用不可能.


最後はバックボードだけでヘリの後部から機内へ搬入です.そして,現場からTECCMCへヘリ搬送.10分もかからず初療搬入です.

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第3者の目で見ると,我々の活動はこんな感じなのですね.

どんな現場でも,どんな状況でも傷病者のこと(だけ)を最優先で考えられる地域,消防と仕事が出来て幸せなドクターヘリ事業です.



本日は豊岡ドクターヘリ,現場第一主義の一端を映像でご紹介しました.







2011年4月5日火曜日

4月5日 満員御礼

救命救急センターの病棟(ICU, HCU)が満員御礼状態です.何とか毎日やりくりしております.院内の皆様に多大なるご協力をいただいております.ありがたいことですm(_ _)m.

本日のドクターヘリは施設間搬送1件のみ.他院からの依頼で専門施設への緊急搬送です.A型解離.緊急度の高い疾患ですが,非常にスムーズにミッションが行えました.

本日もお疲れ様でした.

2011年4月4日月曜日

4月4日 多発外傷

本日も快晴.ドクターヘリの運航に支障はありません.

本日のドクターヘリは小林,幸部先生,森田看護師.

☆ドクターヘリ1件目 多発外傷

覚知同時要請です.ヘリでも20分近くかかる場所ですが,「軽トラックとタンクローリーの衝突事故.閉じ込め1名,救助事案.」であれば現場あるいはランデブーポイントでのドッキングでも十分に有用性が発揮されます.

飛行中の機内で加圧バッグ付きの輸液,気道確保の準備を行いつつランデブーポイントへ向かいます.

20分弱で現場上空へ.ランデブーポイントの着陸準備が整っているとのことでヘリは少し離れたランデブーポイントへ着陸します.直後,救急車がランデブーポイントへ向かっているとの情報.であればこの場で待ちましょう.



数分後,救急車到着.医療スタッフは救急車内へ飛び乗り外傷初期診療開始です.幸部先生は頭もと,小林は体幹部,森田看護師は2人をサポート出来るように間に立ちます.2人の救急医で一気に外傷初期診療を行います.Primary survey・・・顔面外傷に伴い気道は血液で閉塞,呼吸は右胸郭動揺著明,酸素飽和度低下,幸い循環は保たれており,FASTもnegative.意識レベルはE1V1M4.明らかに「やばい!」状況です.

幸部先生は吸引と下顎挙上を行い気道確保に努め,その間に森田看護師は気管挿管の準備と薬剤準備をテキパキと行います.小林は末梢に14G針を留置し輸液開始(その後FAST).輸液路の固定を行い,RSIのため薬剤を投与します.救命士さんに尾側から頸椎保護をしてもらい気管挿管.呼吸,循環評価のためマシモ社の「Radical-7」を装着し,SpO2, PVI, Hbなどをモニタリングします.これで呼吸,循環は安定化しました.

これ以上ここで出来ること,するべきことはありません.速やかに機内へ収容,多発外傷はTECCMCへ.離陸まで10分少々.機内ではオキシログ3000で呼吸管理.右胸部外傷に伴う皮下気種の増大,酸素飽和度の低下はみられません.しかし,Hb値がじわじわと低下.PVIは問題ありません.「頭部からの出血,顔面骨骨折と多発肋骨骨折からの出血が考えられますね.輸液速度はこのままで.」 飛行中もしっかりとしたモニタリングで治療方針の修正を行います.

TECCMC初療へ.待ち構えていた松井先生,new faceの長嶺先生へ治療を引き継ぎます.現場と機内でprimary surveyは終わっています.であればヘリポートからdirect trauma CTへ!

頭部外傷,顔面骨骨折,多発肋骨骨折,肺挫傷,血気胸.救命救急センター,救急医でなければ予測生存率に対する実生存率を上げられない重症外傷です.

消防の適切なヘリ要請が1人の命はすくい上げました!

2011年4月3日日曜日

4月3日 2010年度 運航実績 PART II

2010年度のドクターヘリの実績は3月31日に記載いたしました.


要請件数1118件,出動847件(現場748件,施設間搬送99件)でした.



消防本部,機関別の出動実績は下記の通りです.ほぼ全ての消防本部が各々の医療事情に応じた実績を残されています.地域住民の皆様のことを第一に考え,救急医療システムの1つであるドクターヘリを有効に活用していただきました.


搬送先医療機関の件数を下記に示します.基地病院であるTECCMCには約51%の患者さんを搬送しております.また各地域の拠点病院にも多大なるご支援をいただいていることがわかる実績です.この場を借りて御礼申し上げます.


今年度も引き続きよろしくお願い申し上げます.



本日のドクターヘリは2件要請,2件出動とのことです.1件目は意識障害.ランデブーポイントで気管挿管を施行し,2次性脳損傷を防止しつつTECCMCへ搬送,そのまま脳外科チームによって手術となりました.2件目は山中での滑落外傷.ランデブーポイントでドッキングし,外傷初期診療を施行,外傷は速やかにTECCMCへ.事なきを得ました.



本日は京都で「急性血液浄化療法」のセミナー講師をしてきました.丸1日,参加された皆様と勉強させていただきました.ありがとうございました.



京都への移動に電車を使用しましたが,新型車両はなかなか良いです.まだ旧型車両も走っていますが,全ての特急が新型車両になれば良いなあ,と思いつつ豊岡に帰ってきました.