2013年8月16日金曜日

8月16日 昨夜の出来事(爆発事故 災害派遣)

昨夜(15日),当センターのある豊岡市のお隣福知山市で大きな事故が起こりました.報道などですでにご存じかと思います.花火大会で露天商が原因の爆発事故で多数の傷病者が発生しました.本ブログは報道された内容をふまえ,また今後の災害対応の参考になることを主旨に可能な範囲での実組織名を使用したします.


福知山市は舞鶴自動車道のICがあり,大阪府の中国縦貫道池田ICまで1時間強,神戸市まで1時間20分,豊岡市まで50分,京都市内まで1時間30分以上かかる地域,地理的条件の場所です.


15日20時すぎ,TECCMC救命責任医師のPHSに外線あり.福知山市民病院の先生から「福知山市の花火大会で爆発事故.多数の患者が発生.手を貸して欲しい」旨の連絡あり,すぐにドクターカーで向かう返答を行いました.TECCMCからはセンター長,菅医師,松井医師,三浦医師が通常のドクターカー資機材に加え,DMAT派遣用の資機材を積んで20時11分に出動しました.出動時にDMAT出動する旨を院内の事務に伝え,その後の事後調整を依頼しています.

TECCMCから福知山市民病院までは約50分,走行中にスマートフォンでの事故の情報収集,携帯電話での各機関への情報伝達,協力依頼を適宜行っています.
・多数の傷病者発生時は広域に分散搬送が必要になります.
⇒兵庫県災害医療センター(兵庫県基幹災害拠点病院)にEMISの立ち上げ,入力,県内の受入体制調整を依頼.
⇒千里救命救急センターに連絡,大阪府下の受入調整,立ち上げを依頼.後に兵庫県災害医療センターと大阪府立急性期総合医療センター(大阪府基幹災害拠点病院)が連携し,兵庫県,大阪府の受入医療機関,患者数を速やかに調整してくれました.
⇒京都府の連絡は福知山市民病院に依頼.
・豊岡市消防本部に応援要請がある可能性がある旨を連絡.
・TECCMC DMAT広報支援隊(院内に待機)にDMAT活動の入力を依頼.

21時 福知山市民病院へ到着.当院DMAT隊は各々が無線を有し情報共有可能な状態で支援に入りました.まずは福知山市民病院の医療指揮者の先生,院長先生に到着の報告と支援に入る旨の報告を行っています.

本部で情報収集,活動方針を決め,センター長,三浦医師は本部に,菅医師,松井医師は医療支援に入る事としました.

本部では三浦医師が情報収集と整理,センター長は兵庫県災害医療センター,当院DMAT広報支援隊,TECCMCへ適宜情報を流し,分散搬送の必要性,人数などを伝えています.その上で,受入先医療機関の選定,人数調整を依頼です.

災害時には管轄消防の救急車は転医搬送に使用不可なことは今までの災害対応から判っています.福知山消防本部に近隣消防への応援要請をかけてもらい,転医搬送用の救急車を確保してもらうことを指示しました.

救急車が到着するまでの間に搬送トリアージです.本部にあがってくる情報をもとに搬送順位,搬送先を決めます.緊急度,重症度をふまえての決定です.

兵庫県災害医療センターから兵庫県下,大阪府下の受入先情報をもらい,搬送時間をふまえた搬送先病院の選定を行います.福知山市は京都府ですが,高速道路を使用すると,大阪北部,兵庫県南部に行く方が早い立地条件からの病院選定を行っています.

京都第一赤十字病院,兵庫県災害医療センター,千里救命救急センター,姫路医療センターなどのDMAT隊,ドクターカーがEMISなどの情報から続々と集結,各々のドクターカーなどを使用して患者搬送にあたってもらいました.

また,応援要請で参集した近隣消防の救急車を使用して分散搬送も開始です.菅医師,松井医師も各々の担当患者と共に救急車同乗で搬送業務に従事してもらいました.

24時前 最終の患者搬送も完了し,災害対応も終了です.以後,残務処理,事務処理を行い0時46分にTECCMC DMAT隊は福知山市民病院を出発,撤収しました.

結果,兵庫県下受入9名(内TECCMC 4名),大阪府下3名,京都府下3名の分散,広域搬送を行っております.搬送先はどこかに報道されていましたが,割愛いたします.


今回,局地災害においてDMAT隊として病院支援に入りました.局地災害は短時間の勝負です.災害のスイッチを入れること,広域に協力を依頼し基幹災害拠点病院に調整などを行ってもらうこと,そのためには可能な限りの情報を現場から吐き出すことに努めました.また,いつもながら普段からの横の繫がりのありがたさを実感しました.


取り急ぎの事実関係,時系列的な報告です.まだまだまとめきれていない部分もあり雑文ではありますが,情報提供としての第一報です.


負傷された方々の早期の回復を心よりお祈りいたします.