2014年10月19日日曜日

10月19日 院内災害訓練実施

今年も院内災害訓練を実施しました.災害初動マニュアルを順次改訂しながら,階層構造とアクションカードを基本に現行体制の問題抽出を目的に行いました.よって例年通りほぼブラインドでの訓練です.

今回はバス同士の事故を想定.傷病者数は40名弱と,現実に起こり得る状況を想定しました.10時に傷病者役の皆様にお集まりいただきムラージュ(ケガの化粧)と擦り込みを行います.その後にコントローラーの打合せ.前山先生を中心に救命スタッフで担当します.


12時に発災!想定は丸山大橋付近での事故です.消防も時系列に合わせて,出来るだけ実働に近い形で訓練に参加していただきます.現場指揮本部の立ち上げ,センターへの第一報,CSCAの確立・・・


現場でのトリアージの後に搬送開始.発災から約35分後です.もちろん赤の傷病者を優先搬送ですが,マイクロバスに見立てたワゴン車で緑の傷病者も10名程度搬送します.但馬地域でこのような事故が発生した場合,当院へ取り敢えずの搬送,収容,初期治療が行われ,その後に広域搬送・転送になります.まさに実際を見据えた想定訓練です.


第一報の後から院内では災害対策本部が講堂に立ち上がります.予め講堂の倉庫にはホワイトボードをはじめとした災害対応用の棚が用意してあり,それを引っ張り出せば本部の体裁が整います.続々と参集する病院職員の方々に役割を振り分け,アクションカードを渡します.誰がどこに配置されたかは職員カードを活用し整理です.さて,各統括者の皆さん,受入準備は大丈夫ですか??


院内の受入対応を整えつつ,最初の傷病者が搬入されます.病院正面のロータリーを活用しての搬入.正面入口がトリアージエリアです.



そして今回からの試みは,災害時にも電子カルテを上手く活用し,情報収集・共有を行うこと.事務の方を招集し,トリアージ後に患者受付を行います.この時にトリアージカテゴリーも電子カルテ上に記載し災害対策本部からも見られるようにします.受付業務は思った以上にスムーズに行われます.さすが日常業務で慣れておられる!しかし,トリアージから受付の流れはもっともっと良いシステムに出来そうです.


院内に患者が搬入されれば各々のエリアで診療が行われます.今回も日常の救急診療と同時に災害訓練を行っています.手術室では緊急手術を実際に行いつつ,赤エリアは救命救急センターの初療.例年通りごった返す重症患者.初期診療が終了し安定した後の患者はどうしますか??今回は2名のヘリ搬送が実施されました.


黄エリア,緑エリアも準備OK.緑の患者は帰宅まで出来ましたか??訓練終了後に苦笑いの統括者の先生・・・


災害時も電子カルテを上手く活用することでの情報共有はまずまず出来そうです.さらに放射線部門,検査部門との連携,結果の返しなども問題なくいけました.職員の方々の日頃からの準備もありますが,今回の大きな収穫です.


結果,患者数は39名,発災から2時間程度で訓練は無事終了.訓練終了後に反省会.多くの意見をいただきました.明日からの災害対応に向け,改善すべき点は速やかに対応します.


この地域で災害が起これば他地域からのDMATは数時間は到着しません(地理的に出来ません).その間,当院で出来ること,やるべきことを日常から認識していきたいと思います.参加された職員の皆様,消防の皆様,日高高校の皆様,ありがとうございました.今後ともよろしくお願い申し上げます.